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ナキオカヤドカリ=国立環境研究所の許嘉軒さん提供

 日本国外へ持ち出されたり、国内に持ち込まれたりした野生生物が、違法性が疑われる状況で売買されている。この夏、研究者やNGOが、グレーな取引の一端を相次いで明らかにした。

 国立環境研究所などのチームが7月に発表した論文では、国の天然記念物で沖縄などにすむオカヤドカリ類の台湾での取引について報告している(https://doi.org/10.1002/pan3.70091)。

 筆頭著者で国環研の許嘉軒・特別研究員によると、台湾では体の色が紫がかったムラサキオカヤドカリがペットとして愛好家に人気で、サイズによって1万~2万円で取引されている。ただ、同種は台湾では近年まで見つかっておらず、個体数も限られる。飼育下での繁殖も難しい。

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ムラサキオカヤドカリ=国立環境研究所の許嘉軒さん提供

 チームは、日本からの密輸の可能性を疑った。台湾での売買に使われるインターネット上のプラットホームやSNSを調べ、オンライン販売されている個体の多くは、台湾の外から持ち込まれたとみられると明らかにした。沖縄などの生息地から、中国を経由したものが多そうだという。当局の許可を得て合法的に輸入されたケースはないことも確認した。

5千匹所持で逮捕の例も

 今年5月には鹿児島県の奄美…

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