セブン＆アイ・ホールディングスが受けていた二つの買収提案のうち、創業家の案が頓挫した。巨額の買収資金を集められなかったためだ。セブン経営陣は、残るカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールからの買収提案は魅力が薄いとみて、単独経営を続けて成長をめざす考えだが、いばらの道となりそうだ。
「（創業家の買収資金集めの全体像が）まだ決まっていない。時間がかかっている」
関係者によると、伊藤忠商事の岡藤正広会長は今年初め、周辺にそう不満を漏らした。岡藤氏は伊藤忠として買収提案に1兆円規模を出資するつもりだったが、資金集めの計画全体が進捗（しんちょく）していなかったのだ。
創業家は、クシュタールが提案した7兆円規模の買収価格を上回る資金を集める必要があった。そこで頼ったのが、パイプのある岡藤氏だった。
伊藤忠は食品部門がセブンと…
