プロ初勝利をしたソフトバンクの岩井(右)と初本塁打を放った川村=日吉健吾撮影

 (22日、プロ野球 福岡ソフトバンクホークス11―5東北楽天ゴールデンイーグルス)

 ベテランが引っ張り、若手が応える。今季から指揮する小久保裕紀監督が目指す野球が凝縮されたような試合だった。

 二回だ。3点をリードし、なお1死一塁のチャンス。打席に向かったのは、3月に育成から支配下になった川村友斗だ。

 3ボール、1ストライクからの5球目。ど真ん中にきた139キロの直球を見逃すはずがない。「いい感触で打てた」。プロ初本塁打となる2ランを右翼席に放り込んだ。

 3日前の打撃練習で栗原陵矢から助言をもらった。「体全体を使ってバットを振る感じでと」。開幕1軍入りしたものの、結果が欲しくてコンパクトな打撃に変えた。知らず知らずのうちに打撃が小さくなっていたことに気づかされた。

 マウンドでも若手が躍動した。3点差に迫られた五回2死二塁で救援したのは、ドラフト2位新人の岩井俊介だ。「強い気持ちを持って抑えようと思った」。楽天の伊藤裕季也を最速152㌔の直球で押し、最後はフォークで空振り三振に。試合の流れを渡さず、プロ初勝利を手に入れた。

 優勝から遠ざかった過去3年、課題は常に「世代交代」だった。小久保監督はこう言ったことがある。

 「主力がしっかりしているから若手が伸び伸びできる」。言い換えれば、ベテランが健在なうちに、失敗を恐れず経験を積めということだ。

 前半戦から若手を積極的に起用した。4月末に牧原大成、5月末には柳田悠岐がけがで長期離脱したが、柳町達や正木智也らが台頭。投手陣でも、東浜巨や和田毅の不振があったが、2年目の松本晴が2勝を挙げ、ドラフト6位新人の大山凌もプロ初勝利を挙げるなど、新戦力が育った。

 チーム一丸での3連勝で優勝マジックは1に。4年ぶりの歓喜は目の前だ。(鷹見正之)

 川村(ソ) 二回にプロ初本塁打となる右越え2ラン。「スタメンで起用していただいて、絶対に結果で応えたいと打席に入りました。うれしいです」

 甲斐(ソ) 二、七回に適時打を放って3打点。「みんなで作ったチャンスを絶対に生かそうと思いました。二回は追い込まれてから食らいつけた」

 岩井(ソ) 五回2死二塁で2番手で登板し、空振り三振で切り抜けてプロ初勝利。「離脱している人たちの思いを背負って、思いっきり腕を振れている」

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