企業経営には、さまざまなピンチが訪れます。どう乗り越えるか、経営者の力量が問われます。タクシーが柱の「ユタカグループ」(和歌山市)が進んだのは、多角化への道。その原動力は、社長の豊田英三さん(54)が23年前に見つめた「生と死」にありました。

メタバースの中で繰り広げられるゲームのイメージ。手前のプレーヤーたちは、前方にある和歌山城を目指す=ユタカグループ提供

カンサイのカイシャ ここがオモロイ!

 2001年6月のことだった。豊田さんのところに長女が生まれた。命の誕生に、ほっこりする豊田さん。

 病院の待合室にいると、テレビのニュースが悲しい出来事を報じていた。大阪教育大付属池田小でおこった刺殺事件のことである。

 保護者は朝、行ってらっしゃいと子どもを学校に送り出し、何時ごろ帰ってくるかなと思っていたはず。

 なのに……。

 自分ができることは何なのか。豊田さんは考えた。そして、ユタカグループを地域のためにとことん尽くす企業グループにしようと決心した。

 翌02年、介護タクシー事業スタート。

 05年、デイサービスをする事業所を開設。

 13年、信用できる業者だけ…

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