尼崎商工会議所青年部(兵庫県)が、オリジナルの「地域かるた」を作成した。かるたといえば読み札が要。生成AIに考えてもらったが「機械的な硬さがある」と採用したのは1句だけ。できあがった50句は地元愛にあふれる内容となった。
「かるたを通じて、尼崎のいいところを知ってもらおう」と青年部のメンバーが発案したのは昨夏のこと。各自が読み札の内容を持ち寄り、コンテスト形式で選んだ。
「う」→「梅川の 悲恋を知らず 通り過ぎ」
尼崎ゆかりの文豪といえば、江戸時代に一世を風靡(ふうび)した浄瑠璃脚本作家の近松門左衛門。JR尼崎駅前には、代表作「冥途の飛脚」に出てくる遊女梅川の像が立っていることを伝える。
「そ」→「園田競馬 泣いて笑って ナイター競馬」
関西の代表的な地方競馬場の一つ園田競馬場。5月から10月まで、金曜日に開催されるナイター競馬は「その金ナイター」の名で知られることをアピールしている。
「や」→「弥生土器 発見ドキドキ 田能遺跡」
1965年、田能遺跡から弥生時代の住居跡や墓のほかに大量の土器や石器などが見つかった。猪名川流域に根付いていたとみられる弥生文化の貴重な遺物に注目が集まり、69年には国の史跡に指定された。市民らによる保存運動でも知られており、ロマンあふれる太古の時代に思いをはせた当時の高揚感をとらえた。
AIが作ったのは……
ちなみにAI作はこちら。
「れ」→「赤レンガ 尼崎に刻む 歴史の跡」
市内に古くから点在する赤レンガの建造物を取り上げているが、少し硬い印象だ。
反対にメンバー発案の句には印象的なものもある。
「す」→「驚くなかれ あの尼崎が 住みやすい街NO1」
これは2018年、民間会社による「本当に住みやすい街大賞2018in関西」で1位になったことを伝えている。市役所2階には、当時のことを伝えるプレートが飾られている。
そしてトリだ。
尼崎出身といえば
「ん」→「尼(あま)出身といえば なんといっても ダウンタウン」
浜田雅功さんと松本人志さんのお笑いコンビは、どちらも尼崎市出身で小・中学校の同級生。青年部も納得の締めくくりとなった。
かるたは縦10センチ、横7センチの木製で間伐材が使われている。今年2月、12セットを市へ寄贈した。現在、市内12カ所にある市立生涯学習プラザに置かれている。(谷辺晃子)