宇宙にある謎の物質「暗黒物質(ダークマター)」の正体に迫る方法を、国際チームが発見した。宇宙に光を放つ天体がまだなかった「暗黒時代」からの電波を月面で観測することで、ダークマターの「質量」が分かるという。論文は英科学誌ネイチャー・アストロノミー(https://doi.org/10.1038/s41550-025-02637-0)に載った。
ダークマターの正体を探るには
ダークマターとは、宇宙にたくさんあるはずなのに、見ることも触ることもできない謎の物質だ。しかし、その重力が星や銀河の形成に重要な役割を果たすことから、存在が必須なことはわかっている。宇宙にある物質の総質量のうち、原子などの普通の物質は15%程度で、残り約85%はダークマターとされる。いまは未知の素粒子と考えられており、正体の解明には、質量が重要な手がかりになる。
生まれて間もない宇宙では、わずかなゆらぎでダークマターの密度に差がうまれた。密度が高いところは重力でさらにダークマターが集まってかたまりができ、そこにチリやガスも引き寄せられた。そして、しだいに星や銀河がつくられたとされる。
さらに、ダークマターの質量が小さければ、ビュンビュン飛び回って、かたまりになりにくく、逆に質量が大きいと、ゆっくりと移動して、かたまりをつくりやすいと考えられている。
暗黒時代を再現、水素ガスの電波がカギ
そこでチームは、初期の宇宙におけるダークマターのかたまりのでき方を、コンピューターで高精度に再現することで、質量に関する情報を得る方法を探った。
具体的には、宇宙の誕生から…