(28日、第107回全国高校野球選手権北北海道大会十勝地区代表決定戦 白樺学園7―1帯広工)
七回裏2死二、三塁。帯広工は1点を失うとコールド負けのピンチだ。三塁手の沢辺稜弥主将(3年)は、打球が自分のところに飛んでくるよう念じていた。
打球は自分の真上に飛んできた。重圧がかかる状況を想定した練習は散々やってきたが、「正直、ひざがガクガクするのを感じた」。練習通り捕球すると、はじける笑顔で、勢いよくベンチへ駆けた。
昨夏の甲子園に出場した白樺学園とは、昨夏も地区代表決定戦で対戦し敗れた。昨秋の新チーム発足時、チームのテーマに決めたのが「執念」。沢辺主将は「『執念』をテーマにしてから、粘り強い野球をできるようになった」と評する。
そしてこの夏、またも地区代表決定戦で白樺学園と対戦が決まった。沢辺主将は「力の差があることは分かっている。一つ一つアウトを積み上げ、打撃では一球一球立ち向かおう」と臨んだ。
その言葉通り、帯広工は初回、沢辺主将らの安打でつくった満塁の好機にスクイズを決めて1点先行した。簡単にフライアウトにならないこと、低い打球を徹底すること、確実に犠打を決めること。重点的に練習してきた成果が出て、9回まで試合をつないだ。
「やりきった気持ちはある。このチームのベストゲームだった」。すがすがしい表情だった。