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関東第一―創成館 三回表関東第一無死、藤江は安打を放つ=有元愛美子撮影

(16日、第107回全国高校野球選手権大会3回戦関東第一4―1創成館)

 初球から積極的に振り、犠打で送って次の塁へ走る。守備からリズムをつくり、好機をものにする。実に「関一らしい」戦いぶりで、開幕試合を制し勢いに乗る創成館を破り、8強を決めた。

 この試合、チーム最多の3安打を放ったのが8番打者で二塁手の藤江馳門(3年)。先頭で打順が回ってきた三回表、初球を中前にはじき返して出塁すると、坂本慎太郎(同)の安打でかえり先制の本塁を踏んだ。「みんなで初球からいこうと決めていた。強気で攻めた」

 その直前の二回裏の守備。2死一、三塁のピンチで、藤江は外野に抜けそうな強い打球を好捕しアウトに。守備の流れを攻撃につなげる。そんな関一らしさを体現した。

 九回表の攻撃も見せた。1点を加えて1死一塁。サインはバントだったが、途中からバスターに。すかさず右前にはじき返し好機を広げた。「何度も練習してきた場面なので、躊躇(ちゅうちょ)せずに打った」

 ここで創成館の先発投手が降板。藤江は次打者の内野安打の間に、一気に本塁へ走った。ヘッドスライディングで、だめ押しの4点目。「全員でつなぐ意識が結果となった」プレーだった。

 藤江には、ひときわ強い「優勝」への思いがある。中3の時、中学硬式の最高峰と言われるジャイアンツカップで準優勝に終わった。二塁手で、同じチームには礒野龍我(同)が遊撃手でいた。そして、決勝を戦った相手エースが坂本だった。「あと一歩で優勝に届かず、本当に悔しい思いをした」

 中学時代に頂点を競い合った者同士がいま、同じチームの仲間になった。「不思議な縁を感じる」と藤江。昨夏、関東第一が逃した甲子園優勝を一緒に追っている。

 試合後、ヘッドスライディングでユニホームは誰よりも真っ黒だった。「思い切りプレーでき、めっちゃ楽しかった」。強い気持ちの分だけ、夢に近づく。

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