東京大学大学院教授の吉田寛さん

 昭和の終わりごろから流行したテレビゲーム。現代の最新ゲームとは隔世の感もあるが、今に通じる普遍的な部分もあるようだ。ゲーム研究や感性学が専門の東京大学大学院教授、吉田寛さんに聞いた。

リレーおぴにおん 「100年目の昭和」

 ゲームや遊びの研究をしています。フランスの思想家ロジェ・カイヨワは、遊びとゲームを四つに区分しました。その一つが「ミミクリ」、まねや模倣です。なりきること、と言ってもいいでしょう。ごっこ遊びや、ままごとなどがその例です。

 このなりきる遊びをデジタル化したものの一つが、テレビゲームです。虚構の世界のキャラクターになりきり、自分で操作して動かす遊びです。小説や映画などでも受け手は想像力を働かせ、登場人物に自分を重ね合わせますが、それは鑑賞という行為です。プレーヤーが単なる受け手の立場をこえて、画面の中のキャラクターや物語に直接影響を与え、虚構世界に参加できるのがテレビゲームの面白いところです。

 当初、テレビゲームは、ゲームセンターのような公共空間に置かれていました。それがコンピューター技術の普及にしたがって、家庭の中にも入り込みます。その代表が、昭和58(1983)年に登場した任天堂の家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」です。魅力的な画像や効果音が人々を引きつけました。

 テレビゲームは、遊びの個人…

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