インタビューに応じるコンサルティング会社「テレワークマネジメント」の田澤由利社長=札幌市中央区

 仕事を求めて都会へ出て行く。そんな時代は、過去のものになるのか。働く場所や時間にしばられない「柔軟で多様な働き方」の普及について、コンサルティング会社「テレワークマネジメント」(北海道北見市)の田澤由利社長に聞いた。

労働力人口の減少

 働いているか仕事を探している人の数(15歳以上)を示す「労働力人口」(2023年平均)は、北海道が271万人で20年前から4.6%減ったが、東京を含む南関東は2149万人で16.8%増えた。一方、自宅など社外で働く「テレワーク」を導入している企業の割合(23年8月末)は、南関東が62%だったのに対し、北海道は41%にとどまっている。

 「結婚と出産で大手電機メーカーを退職せざるをえませんでした。仕事で詳しくなったパソコン関係の記事を書くフリーライターになり、家事や育児と両立させました。夫の転勤で各地を転々とし、北見市に来たのは3人目の子の出産直後です」

 「働き続けられる社会にするには企業が変わる必要があるという思いが強くなり、コンサル会社を2008年に設立しました。社員はすべてテレワーカーで、自宅は札幌市や首都圏、関西圏とさまざまです。子育てや介護といった事情に合わせて勤務時間を柔軟に設定できるようにしています」

 「こうした多様な働き方は、人口減が進む地域に大きな利益があります。仕事を求めて都会に出ていく人を減らし、知識や経験を得て地元に帰ってくる人も増やせます」

 「北海道内の企業にとっても、通勤圏外に住む人を雇えるようになります。人手不足に悩む介護業界で最近、札幌市の会社がケアマネジャーをテレワーク可能という条件で募集したら、すぐに数人採用できたそうです。子育てで仕事を辞めた人が、ここなら働けると喜んでくれたといいます」

 「優秀な社員の流出を防ぐ効…

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