ロシアとウクライナの停戦交渉を世界が見つめる日々が続いている。戦闘が始まって3年余、世界はどう変わったのか。「新しい中世」などの著作を通し、現代の国際関係を大きな歴史の文脈でとらえることを提唱してきた国際政治学者、田中明彦さんに聞いた。
――ウクライナの状況をどう見ていますか。
「米国とロシアは、あえて単純化すれば、19世紀型のパワーポリティクス、権力政治、勢力均衡に基づく行動をしているように見えます」
――19世紀に逆戻りですか?
「国際法といった規範にとらわれず、大国が自国の利害に基づいて行動する。ロシアは2008年にジョージアとの戦争を起こしたあたりから、そうなっていました。一方、米国はトランプ政権になって、その傾向が前面に出ていると思います」
――具体的にはどのような言…