米中両政府は日本時間14日午後1時過ぎ、お互いに掛け合ってきた高関税を115%ずつ引き下げた。電撃的な関税削減を分析すると、トランプ大統領が高関税を解くパターンが見えてくる。一方、高関税は米国内の消費や投資マインドを傷つけた。その治癒に向け、米政権が関税の矢に続いて放つ2本の矢の行方が重要になる。
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トランプ氏が一転して容認した対中関税の大幅引き下げ。145%の高関税が加算された中国からの輸入品が、いよいよ米国の流通に乗り始めるタイミングで決断された。このまま突き進めば、輸入物価の上昇や、貿易の停止による幅広い製品の欠品が全米で発生し、米国民・企業に大打撃となるおそれが高まっていた。
トランプ氏が関税政策を突如、翻すのはこれが初めてではない。4月9日に主要貿易相手にかけ始めた相互関税の上乗せ税率を、発動から13時間後に突如停止したことに続く「サプライズ」となった。
共通していたのは、経済・金融上の危機への懸念が膨らんだことだ。
4月の相互関税の時は、株・債券・通貨がそろって売られる「トリプル安」の発生が引き金となった。米国債の暴落による金融危機や、米国債の入札不調といった事態を避ける狙いがあったとされる。
米国の世論調査では、トランプ氏の関税・経済政策の不人気は鮮明になっている。経済・金融の問題が表面化すれば、トランプ氏は関税政策の変更をためらわないようにも受け取れる。
トランプ政権の経済政策「3本の矢」
では、今後、トランプ政権は通商・経済政策をどう展開するのか。対中協議が終了して一夜明けた12日の記者会見で、交渉を主導したベッセント財務長官が、重要な発言をしている。
「トランプ政権の経済政策は…