人工知能(AI)で世界を主導することを目指し、7月に「AIアクションプラン(行動計画)」を発表したトランプ米政権。計画は、政府が契約するAIに「客観的でイデオロギー的偏向がない」こととする条件を設けた。ただ、基準があいまいな「偏向のない」AIは技術的に難しく、時の政府の価値観が強制される危うさもはらむ。
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「米政府は真実、公平、厳格な公平性を追求するAIのみを取り扱う」
7月23日に行動計画を発表した際、トランプ米大統領はこう述べた。行動計画自体は、AI開発に必要なデータセンターや半導体工場の整備を進めたり、技術者を増やしたりすることを掲げる内容が大半を占めた。
しかし、異質とも言えるのが、人々が情報源として使う生成AIのチャットボットを念頭に、出力される回答が偏っていないことを求めていた点だ。トランプ氏を支持する保守層を中心に、AIが「リベラル寄り」だとして不満がたまっていることが背景にあるとみられる。
多様性は「悪い例」
行動計画の一環で同日に署名…