トランプ米大統領の予測不能の政策が、基軸通貨ドルの信認をも傷つけている。目玉の高関税が米国自身の経済を損なうおそれが強く、世界の混乱の震源となっている。24日に予定する日米財務相会談で日本側は、米政権のドル政策の方向性を探ることになりそうだ。
- ベッセント氏「通貨目標、絶対にない」対日協議、ドル安誘導を否定か
ニューヨークの商品市場で22日、金(ゴールド)の先物価格が史上初めて1オンス=3500ドル台をつける場面があった。節目の3000ドル台に乗せたのは3月中旬。そこから1カ月余りで500ドルも急騰した。
金への人気集中は、ドル資産への不安の裏返しでもある。
ほぼ全世界に一律10%、貿易赤字を抱える相手には税率上乗せ――。トランプ氏が9日に「相互関税」と称する新関税の発動に踏み切ると、米国債価格は急落し、反対方向に動く長期金利(10年物国債の利回り)は一時4.5%に達した。
米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、11日までの1週間の長期金利の上昇幅は、同時多発テロ直後の2001年11月以来、最大だという。
トランプ関税を受けて株価は下落傾向にあり、「世界一の安全資産」とされる米国債は資金の逃避先となるはずだった。米国債の投げ売りは、それと表裏をなす基軸通貨ドルへの市場の懐疑心を映し出した。
金利上昇は通常なら自国通貨…