「東北の熱海」とも言われた浅虫温泉(青森市)。しかし温泉街は廃れ、かつては遊覧船が行き交った街のシンボル的存在である陸奥湾に浮かぶ島の神社も荒れ果ててしまった。街を再生させたいと志した男性が、60歳を前に勉強に励んで宮司となり、無人島に通っている。
浅虫から約1キロ沖合、周囲約1・5キロの湯ノ島に、海の神をまつった湯ノ島神社がある。ピラミッド型をした島と、海に浮かぶ湯ノ島神社の鳥居は浅虫温泉を象徴する風景だ。
青森市で接骨院を営むスポーツトレーナーの桜田慎司さん(58)にとって、子どものころに見た浅虫温泉は憧れの街だった。「映画館もあって、芸者さんもいた。近くの都会だった」
桜田さんは青森市内の高校を…