2024年7月5日、ベルリンで共同記者会見に臨むドイツのショルツ首相(中央)、リントナー財務相(左)、ハーベック経済気候相=ロイター

 ドイツのショルツ政権が、内部の路線対立の深刻化により厳しい状況に立たされている。連立与党の一角、自由民主党(FDP)の連立離脱観測まで出ており、野党からは早期退陣を求める声も上がる。FDPが連立を離脱すれば議会が解散され、来年9月の総選挙が前倒し実施されるシナリオも浮上している。

 2021年12月に発足したショルツ政権は、社会保障を重視する社会民主党(SPD)、環境政党の緑の党、FDPの3党の連立からなる。ただ、政府による財政支援や規制が少ない市場経済を重んじるFDPは、これまでもSPDや緑の党との意見衝突が目立っていた。

 ここに来て対立が深まっているのは、FDPを率いるリントナー財務相がこのほど打ち出した、非効率な補助金の削減などを求める経済政策の提言だ。その直前に緑の党のハーベック経済気候相が発表した、投資を促す基金を設立して企業への補助金を手厚くする構想が、相反する内容だったためだ。提言では気候変動対策目標や環境規制の見直しなども求めており、緑の党が反発しそうな政策も盛り込まれていた。

 FDPの離脱観測の背景には…

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