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 ユダヤ人差別を背景に19世紀末のフランスで起きたドレフュス事件をめぐって、マクロン仏大統領は12日、毎年7月12日を冤罪(えんざい)の犠牲になったユダヤ系陸軍将校アルフレッド・ドレフュスの記念日に定めると発表した。中東情勢を受けて仏国内でユダヤ人を狙った犯罪が多発するなか、反ユダヤ主義を許さない姿勢を示す狙いがある。

 仏陸軍の大尉だったドレフュスは1894年、軍の機密をドイツに漏らしたとして終身刑を宣告された。しかし、作家のゾラが公開書簡「われ弾劾(だんがい)す」で冤罪を告発。軍を擁護する国家主義者らが反発し、国論を二分する事態になった。事件は日本でも世界史の教科書で触れられている。

 ドレフュスの無罪は1906年に確定したが、復職時の階級が不当に低く、名誉回復が不十分と指摘されてきた。マクロン氏は声明で「憎悪から生まれた反ユダヤ主義に警戒を怠らず、粘り強く立ち向かわなければならない」と表明。日本の最高裁にあたる破棄院がドレフュスの無罪を認めてちょうど120周年を迎える来年7月12日から追悼式典を毎年同日に開催すると明らかにした。

 フランスは欧州で最大規模と…

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