考案したドローンを使ったゲーム「ドロンバタン!」の商品化を目指す(左から)浅井しいなさん、佐藤遥斗さん、谷沢芹菜さん=2025年6月16日午後2時46分、名古屋市昭和区、松永佳伸撮影

 南山大学経営学部(名古屋市昭和区)の4年生3人が、全国の大学が参加したゼミ対抗の商品企画コンテストで1位となり、商品化の権利をつかんだ。考案したのは、ドローンの風圧を利用して的を倒していく対戦型ゲーム。ルールはシンプルだが、チームワークや戦術が試される。3人は「子どもたちが楽しくドローンに触れられるきっかけをつくりたい」と意気込む。

 川北真紀子教授のゼミ生でマーケティングなどを学ぶ浅井しいなさん、谷沢芹菜さん、佐藤遥斗さんの3人。コンテストは「Student Innovation College2024」(Sカレ)で、全国の159チームが12のテーマの中からそれぞれ選んで商品を企画、昨年10月の中間発表に臨んだ。

 3人は、ITコンサルタント「メルプ」(滋賀県湖南市)が提示したテーマ「ドローンで新たな遊びを」に沿って、100グラム以下のトイドローンを使った「ドロンバタン!」を考案。13チーム中1位に選ばれた。12月の本選でもテーマ部門で1位、全体で3位に入った。

 ゲームはドローンを操り、プロペラから生じる風を的に当てて、直角に折り曲げられたアルミ製の的を「バタン!」と倒す。遊び方は、2人1組で青と赤の2チームに分かれ、ドローンを操縦。的は真ん中を境に赤と青に塗り分けられていて、制限時間内に相手チームの色の的を倒して得た点を競う。的の難易度により得点が異なる。

 最初はドローンを的に直接ぶつけて倒す方法を検討していたが、機体へのダメージが大きく断念。風圧でも的が倒れることを偶然発見し、ルールを変更し、ゲームの面白さが増したという。

 主な対象は小中学生。浅井さんは「シンプルで簡単なルールにしたかった。遊びながら、ドローン操作スキルやコミュニケーション力、空間認識力などたくさんの学びを得られる」と力を込める。

 3人は昨年8月、Sカレに参加するため、ゼミ生であみだくじをしてチームを結成。これまでドローンに触れたこともなかった3人は、スクールに通ってドローン操作の基礎を学んだり、子どもから聞き取りをしたりしてアイデアを出し合った。

 子どもを対象にした体験会を8回開き、工夫を重ねてきたという佐藤さんは「子どもたちが気軽にドローンに触れられ、楽しめる未来をつくりたかった」と話す。

 1位を獲得し、「メルプ」とともに商品化を進める一方、3人は多くの子どもたちに体験してもらおうと、企業などからスポンサーを募り、「ドロンバタン!」を学童保育所や児童館などに寄付する計画を立てている。企業と児童施設との橋渡し役となるため、夏休みなどを利用して「営業活動」を続けるという。この活動費などを賄うためのクラウドファンディング(CF)にも今年5月から取り組んでいる。

 10月には、昨年のSカレで各テーマ1位となった12チームによる総合優勝戦がある。それまでに商品化にこぎつける必要があるほか、販売や普及に向けた取り組みも審査の対象になる。

 谷沢さんは「ドローンを身近な存在にし、遊びを通して子どもたちを笑顔にしたい。将来の遊びの選択肢の一つになればうれしい」と話す。

 CFの受け付けはhttps://camp-fire.jp/projects/840016/viewへ。今月30日まで。

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