中国の商業宇宙企業の数(前年比)
2023年9月4日 12時23分(日本時間)
北京 — 中国では、限界に挑戦する宇宙に焦点を当てた企業が急増している。
国の技術の急速な進歩を反映して、中国企業は7月にメタン燃料ロケットの軌道への打ち上げに世界で初めて成功した。
最近の傾向は、中国の習近平国家主席が策定した「軍民融合」戦略によって支えられている。 しかし、同国の宇宙への軍事進出の可能性については国際的な懸念がある。
中国国営新華社通信によると、2015年に設立された民間企業ランドスペースは7月12日に独自に開発したZhuque-2ロケットを配備し、液体メタンと液体酸素を燃料とするロケットによる初めての軌道突入に成功した。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)や外交筋によると、液体メタンは現在の主力推進剤である液体水素よりも安全で、コストも安く、燃焼効率も優れている。 世界中の企業や宇宙機関は、燃料としての液体メタンの研究開発に時間と資金を注ぎ込んでいる。
以前、イーロン・マスク氏所有の米国企業スペースXが開発した液体メタン燃料ロケットが軌道に到達することに失敗した。 中国メディアはランドスペースの功績を広く繰り返し称賛してきた。
従来、中国のロケットと人工衛星は、中国国防省傘下の研究機関から派生した国有企業2社によって開発・製造されてきた。 しかし、「宇宙大国」になるという目標を掲げ、中国政府は2014年に宇宙分野への民間投資を許可し始めた。
習氏は2017年、民間技術を活用して中国軍を強化することを目指す「軍民融合」戦略において宇宙が重要な要素になると宣言した。
それ以来、中国の商業宇宙部門では宇宙関連企業の数が2018年末時点の141社から2022年末時点で433社に急増した。
ランドスペース以外にも、中国軍や国有企業の支援を受け、先進技術を誇る企業が続々と台頭している。
他の新興企業が新たな開発を行うにつれ、中国の軍事目的での宇宙技術利用がさらに加速する可能性があると一部の観測筋は指摘している。
米財務省は1月、商業衛星を運用する中国企業を制裁リストに加え、同企業がウクライナ上空で撮影し、ロシア企業を通じてロシアの民間軍事会社ワグナーに渡した衛星画像を巡り、制裁リストに追加した。 中国企業はワグナーやロシア企業との関与を否定している。
ウクライナの対ロシア軍事反撃を支援するスペースX社の衛星通信ネットワーク「スターリンク」に代表されるように、安全保障には衛星通信、地上観測、測位が不可欠である。
防衛省防衛研究所の福島康人主任研究員(宇宙安全保障専門)は「中国軍が民間の宇宙技術やサービスをどの程度利用しているかを注意深く監視する必要がある」と述べた。 「今後を見据えると、ワグナーがそうしたように、ますます多くの国や組織が中国の商業宇宙サービスを軍事目的で利用するようになるということを認識することが重要だ。」