カタールの首長シェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニーは火曜日、ドーハのアミリ・ディワンで岸田文雄首相と握手した。
2023年7月19日 18時03分(日本時間)
ドーハ — 岸田文雄首相の中東訪問は、エネルギー分野での協力だけでなく、この地域との緊密な関係を築くことにも焦点を当てた。
中国が中東での存在感を急速に高める中、岸田氏は法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持を強調し、その価値観は訪問したサウジアラビア、米国の3カ国にも共有されていると述べた。アラブ首長国連邦とカタール。
岸田首相は火曜日午後、ドーハでの記者会見で「この基本原則は湾岸諸国の指導者らと最終的に確認された」と述べた。
今週初め、外務省は岸田氏とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が、世界のどこにおいても武力による一方的な現状変更の試みを決して容認しないことを確認したと発表した。
その後、岸田首相はUAEのシェイク・モハメド・ビン・ザイード大統領とカタールのシェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニー首長と会談し、平和と国際社会の安定に向けて日本と緊密に連携していくことを確認した。
明らかに中国を念頭に置いて、首相はエネルギー関連の話題に加えて「法の支配」の価値をわざわざ指摘した。
日本の原油輸入量の8割以上はこれら中東3国からのものだ。 政府高官は、東シナ海と南シナ海で覇権主義を強める中国の動きと、一部の中東諸国の政策決定に影響を与える能力は「エネルギー安全保障の観点から脅威となっている」と指摘した。

遅れている
中国による中東への接近が目立っている。 中国の習近平国家主席は12月にサウジアラビアを訪問し、3月にはサウジアラビアとイスラム教スンニ派とシーア派のライバルであるイランとの国交正常化の仲介役を果たした。
サウジアラビアは米国と協力関係にあるが、両国間には緊張もある。 ジョー・バイデン米大統領政権は、2018年のサウジアラビア人ジャーナリスト殺害などの人権侵害の疑いでリヤドを非難した。 近年、中東への米国の関与の度合いは低下しており、中国がこの状況を利用して国際秩序を混乱させようとしているとの見方もある。
中東諸国は中国に対して一定の配慮をしているとみられる。 ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は首脳会談で北朝鮮問題に関して日本への支持を表明したが、中国に関してはリヤドも日本も中国に対するそれぞれの立場を説明する以上のことはしなかったと伝えられている。
さらに、日本の強みであるはずの経済協力でも、東京は北京に比べて遅れをとっている。 岸田氏は、6カ国からなる湾岸協力会議との自由貿易協定交渉を再開することに同意した。 しかし、中国はすでに2016年にGCCとのFTA交渉を再開しており、協定の早期締結を目指して2022年1月に共同声明を発表した。
献身
日本の首相の中東訪問は3年半ぶりとなる。 安倍晋三首相(当時)が最後に訪問したのは2020年1月だった。岸田氏は当初、2022年夏に中東訪問を予定していたが、パンデミックにより計画が中止された。
岸田氏は訪問中、脱炭素化に向けた日本の最先端技術を中東に提供することを約束し、中東地域を次世代エネルギーの供給基地にするという壮大なビジョンを提案した。 どうやら岸田氏は、中国の同地域への進出が進む中、中東諸国に日本に注目してもらいたかったようだ。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は37歳で、長期にわたってサウジアラビアを監督すると予想されている。 わが国が中長期的に安定したエネルギー供給体制を確保するには、同分野にとどまらず、中東諸国と重層的な関係を構築することが不可欠である。 首相に近い関係者によると、首脳間の個人的な信頼関係を醸成することが重要で、岸田氏の訪問はその第一歩となる。