20日投開票の参院選では消費税減税が争点の一つだが、まるでこの論点を先取りしたかのごとく「財務省解体」デモが今春沸いた。ただ、SNSで拡散した陰謀論も可視化され、収益化をもくろむ層も参入。現場は異様な熱気に包まれた。デモの土壌には、財政制度やエリートによる資源配分への根強い不信があり、一笑に付せない現実があると専門家は言う。
政治家もデモに言及
デモを継続的に取材してきた、陰謀論に詳しいライターの黒猫ドラネコさんによると、デモは昨年末からじわじわと広がりを見せ、2月から3月にかけてピークを迎えた。
2月には国民民主党の榛葉賀津也幹事長が「いても立ってもいられない、国民の悲鳴だね」と発言し、3月には国会で石破茂首相が「国民の不満や怒りが体現されていることを等閑視すべきではない」と言及。「報道が『国民の怒り』という文脈で、政局を絡めてデモを取り上げた」ことで、需要を見込んだ動画配信者なども参入し、反財務省の声は加速度的に高まっていったという。
ただ「従来のデモのように何か一つの団体が主催するものではなく、反ワクチンを訴える人から緊縮財政を批判する人までがおのおの集まってきた」と黒猫ドラネコさん。現場では「財務省の中にはほとんど日本人がいない」「財務省の隠し金がスイス銀行にある」など、論理の飛躍した発言までも飛び交っていたという。
朝日新聞社のメディア研究開発センターが、SNS分析ツール「ソーシャルインサイト」を使い、昨秋以降に「財務省」「解体」を含むX(旧ツイッター)の投稿を収集・分析したところ、頻出した単語には「国民」「消費税」「廃止」「減税」などが並んだ。デモで財務省解体を訴えるスピーチを紹介したXの投稿が4万リポストされたほか、消費税廃止を求める投稿も目立った。減税を求める声は強く、20日投開票の参院選は、物価高対策として消費税減税が争点となっている。
ポピュリズム批判は悪手?
ネット言論を研究する日本映…