Smiley face

 岡口基一判事(58)は、「ネット巧者」として知られる極めて異色の存在だった。裁判官とは明かさないものの実名と顔写真を載せたツイッター(現X)で、積極的に投稿を続けてきた。

 だが、その中の投稿が殺人事件の遺族を傷つけたなどとして、裁判官の職を奪うかを決める「弾劾(だんがい)裁判」にかけられた。約2年にわたった裁判。岡口氏は自らの職と名誉をかけ、法廷で何を語ってきたのか。

弁護団とともに裁判官弾劾(だんがい)裁判所に出廷する岡口基一判事(右)=2023年12月20日、東京都千代田区、吉田耕一郎撮影

 岡口氏は2017年12月、自身のツイッターに、女子高校生が殺害された事件の高裁判決が読める裁判所ホームページのリンクとともに、「首を絞められて苦しむ女性の姿に性的興奮を覚える性癖を持った男に、無残にも殺されてしまった17歳の女性」との文言を投稿した。

 その後も関連する投稿で遺族を傷つけたことなどが「裁判官としての威信を著しく失う非行があった」として、21年6月に弾劾裁判にかける「訴追」が決まった。弾劾裁判は戦後、今回を含め10件しかない。

  • 【そもそも解説】弾劾裁判ってなに? SNS投稿の是非問うのは初

 22年3月、弾劾裁判所が置かれる東京・永田町の参議院第二別館で裁判が始まった。

 問われるのは、裁判官を続けることがふさわしいかどうか。「私がした表現行為に不適当なものもあり、深くおわび申し上げる」と、岡口氏は謝罪した。

原点は自ら構築したウェブサイト

 23年12月に開かれた12回目の裁判での本人尋問では、投稿の理由などが詳細に語られた。弁護人は、岡口氏の原点を尋ねることから始めた。

 弁護人「いつ裁判官になろうと思ったのか」

 岡口氏「司法試験に合格し…

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