Smiley face
写真・図版
ネパールの首都カトマンズで2025年4月19日、10年前に起きた地震で母親と子ども2人を亡くしたラズ・バイ・マハルザンさん(左)と妻のナティさん=石原孝撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 約9千人が亡くなったネパールの地震から、25日で10年が経った。復興が進み、観光地では外国人客の姿も戻っているが、家族を失った遺族らの悲しみは完全には癒えていない。今後の防災対策も課題になっている。

 首都カトマンズの広場では25日、追悼式典が開かれ、地元政府や各国の支援団体の関係者らが出席する。マグニチュード7・8の地震が起きた午前11時56分に合わせて黙禱(もくとう)を捧げる。

 視覚障害があるラズ・バイ・マハルザンさん(56)はその日、外出先から自宅に戻ると、4階建てのアパートが倒壊していた。3時間後、室内にいた母親のナティさん(74)と、自身の次女、三女の遺体を発見。ナティさんは1歳半だった三女のアピシャちゃんを抱いたまま、息を引き取っていた。

 マハルザンさん一家は親族の土地に移り住むことができたが、「気持ちがふさぎ、数年間は生きていくのでやっとだった」。余震を恐れ、少しの揺れでも外に避難するようになった。

 いまは部屋の一部を賃貸に回し、医師になりたいと夢見る長女を支える。「肉やミルクを買うのを控え、学費にあてている。子どもの未来が、私たち生き残った家族の希望だから」

 一方、生後4カ月で、発生から22時間後にがれきの中から救出されたソニス・アワル君(10)たちは、当時と同じ場所で暮らしている。再建した自宅の横には、今も崩れたままの建物が残る。「体操やゲームをするのが好き。将来はゲーム配信者になりたい」と目を輝かせた。

 ネパールでの地震では、れんがや岩、泥などでできた約100万戸の家屋のほか、小中学校も約7千校が損壊。当時の国内総生産(GDP)の半分近くとなる約94億ドルの経済的損失が出たと言われる。

日本も復興を支援

 地元政府で防災担当を務める…

共有