記者コラム 「多事奏論」 アメリカ総局長 望月洋嗣
今月6日、フランス北部で開催されたノルマンディー上陸作戦から80周年の記念式典に、この激戦を生き抜いた米英軍の元兵士、二百数十人が出席したと報じられた。米英軍中心の連合軍が、欧州をナチス・ドイツから奪還するための決死の作戦に加わった兵士たちは約16万人。ほとんどが他界し、存命でもすでに90代後半から100歳超。健康上の理由で現地入りはできない人も多かったようだ。
10年前、上陸作戦から70年の際に、英国の老人ホームを抜け出し、記念式典が開かれた浜辺に向かった89歳のノルマンディー帰還兵がいたと、最近知った。
この男性、バーナード・ジョーダンさんは式典への団体旅行に参加できなかったことから、単独での「ノルマンディー上陸」を決意。足取りもおぼつかないジョーダンさんは勲章をつけたジャケットをコートで隠し、ポーツマスからフランス行きのフェリーに紛れ込んだ。
同居していた妻も周囲に隠し…