ノーベル賞より感慨深い――。

 島津製作所(京都市)の質量分析装置が米国電気電子学会(IEEE)により「IEEEマイルストーン」に認定された。技術革新の歴史的な業績をたたえるもので、開発者のひとり、田中耕一エグゼクティブ・リサーチフェローが認定を受けて会見。電気工学の知識がノーベル化学賞につながったと話した。

1988年に発売した島津製作所の質量分析装置をスクリーンに映して説明する田中耕一さん=2024年11月15日、京都市、瀬川茂子撮影

 認定されたのは1988年に発売された装置。レーザーを当てて測定対象の分子をイオン化して飛ばし、検出器に到着するまでの時間から質量を精密に測る。だが、対象がたんぱく質だと、そのままレーザーを当てると壊れてしまう。田中さんは、たんぱく質に金属の粉末とグリセリンを混ぜたものを合わせることでレーザーの衝撃を和らげ、解析可能にした。生物学や医学に大きく貢献、田中さんは2002年にノーベル化学賞を受賞した。

 当時、なぜ混ぜたのかと聞かれ、「実験の失敗。間違って混ぜたが、捨てるのはもったいないので試したら大成功」と答えた。「日本のもったいない精神」でノーベル賞と称賛された。

 実はそれだけではなかったと、開発の背景を明かした。

 田中さんは東北大で電気工学…

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