【動画】ハサミを高速で震わせて音を出すスナガニ=すさみ町立エビとカニの水族館・平井厚志館長提供、京都大フィールド科学教育研究センター後藤龍太郎助教撮影

 ハサミを高速で震わせて音を出すカニを、京都大や北九州市立自然史・歴史博物館などの研究グループが見つけた。ただし、音が発生する詳しい仕組みなどは謎に包まれているという。研究結果が国際学術誌にオンライン掲載(https://doi.org/10.3800/pbr.20.169)された。

 音を出すことがわかったのは、世界中の温帯~熱帯の砂浜に生息するスナガニ類の一種であるナンヨウスナガニ。この仲間には、ハサミを直接地面にたたきつけたり、ハサミの内側にある小さな凸凹部分を脚の一部にこすり合わせたりして音を出すものがいる。メスを誘う求愛や、巣穴に侵入する敵への威嚇のためだと考えられている。

 ただ、ナンヨウスナガニは、ハサミの内側の凸凹部分がなく、これまで音を出す発音行動は報告されていなかった。

 京都大フィールド科学教育研究センターの後藤龍太郎助教らの研究チームは、2020年と23年に和歌山県すさみ町と白浜町で採取したオス4匹を水槽で飼育し、観察。そのうち3匹から発音行動がみられたという。

 音を出す際、オスはいずれも巣穴の入り口付近か内部にいて、大きい方のハサミを折りたたみ、地面と平行にした状態で、高速で上下させていたという。

大きいハサミを高速で振動させて音を出すナンヨウスナガニ=後藤龍太郎さん撮影

 後藤さんは「Zoomでの会議中に、思いがけず部屋の水槽から『ブロロロロロロロ……』といった携帯のバイブ音のような音が数回聞こえてきて驚いたが、その後、カニの出す音だと気づいてうれしかった」と振り返る。

地面をたたいていないのに…

 ただ、今回の結果では「ハサ…

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