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弟が亡くなった事故現場で手を合わせる長文恵さん=2024年2月9日午後2時2分、大分市、大村久撮影

 悪質な交通事故の処罰のあり方について、鈴木馨祐法相は10日、危険運転致死傷罪の見直しを法制審議会に諮問した。適用のハードルが高いとの声がある危険運転罪の要件をめぐって、運転手のアルコール濃度や超過速度の数値基準を設けることの可否が焦点となる。事故で家族を失い、当初、加害者側に危険運転罪が適用されなかった経験を持つ遺族からは様々な声が上がった。

  • 危険運転罪の要件見直しへ法制審に諮問 速度・飲酒の数値基準を議論
  • どこからが「危険運転」か 遺族、元検察官、刑法学者にきく

 大分市で2021年2月、時速194キロで交差点に進入した車に衝突されて亡くなった小柳憲さん(当時50)の姉、長(おさ)文恵さん(59)は「ルールを守らず人を傷つけたり、死亡させたりした場合、全て危険運転罪を適用すべきだ」と話す。

 22年7月に大分地検は車の運転手を過失運転罪で起訴したが、遺族らが「過失とは思えない」と危険運転罪への訴因変更を求める署名を地検に提出。地検が同罪を訴因に加えた。

 24年11月に大分地裁であった裁判員裁判では、194キロの走行が危険運転の類型の一つ「進行を制御することが困難な高速度」にあたるかが争われたが、地裁は「わずかなミスで車を進路から逸脱させ事故を発生させる危険性がある速度」だったとして、同罪の成立を認定した。

 長さんは「過失運転罪で起訴…

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