米ワシントンのホワイトハウスで8日、シリアのアサド政権崩壊を受けて演説するバイデン大統領=AP

 シリアのアサド政権崩壊に対し、米国のバイデン大統領は8日、「正義の実現」だと歓迎した。アサド政権の後ろ盾となってきたロシアやイランの影響力が低下し、「力の空白」が生まれる中東に対しどう臨むのか。早速「巻き込まれてはいけない」と訴えているトランプ次期大統領の動きが焦点となる。

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 バイデン氏は8日、ホワイトハウスで急きょ演説し「長年苦しんできたシリアの人々が、祖国のより良い未来を築く歴史的好機だ」と述べた。政権の崩壊は、ウクライナに侵攻したロシア、レバノンでイスラエルと停戦したイスラム教シーア派組織ヒズボラ、そしてヒズボラを支援するイランの3者が弱体化し、アサド政権を防衛する余力がなかったためだと指摘。米国がウクライナやイスラエルに「揺るぎない支援」をしてきた「直接的な結果」だと強調した。

 米国は自国民を弾圧するアサド政権への経済制裁を続けてきた。シリア北東部の大部分を支配するクルド人主体の反体制武装組織「シリア民主軍(SDF)」を支援し、過激派組織「イスラム国(IS)」掃討のため、約900人の米軍部隊を駐留させている。

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