身近な海にどんな魚がすんでいるのか、水をくんで調べてみませんか。NPO法人「アースウォッチ・ジャパン」や東北大学などが、海水に含まれる魚のDNAを利用して、魚の分布の調査に参加する市民を募集している。

海藻を食べるアイゴ。気候変動で分布が北上しているといわれている

 調べるのは「環境DNA」と呼ばれる、魚の粘膜やフンなどから海中に漂うDNA。近年、こうしたDNAを扱う技術の進歩によって、実際に魚を捕まえなくてもその場所の近くにどんな種がいるのかわかるようになってきた。

 参加者は自分が調べたい場所の海岸でバケツを使って水をくみ上げ、濾過(ろか)するなどして研究者に送る。保存容器など、バケツ以外の道具は自宅に送られてくる。

環境DNAの調査で使う道具。バケツ以外は申し込むと送られてくる

 環境DNAを使った調査は、魚の名前がわからなくても参加できるのが利点だ。捕まえたり、潜って観察したりといった方法では見つけづらい魚の存在がわかることもあり、学術的な研究のほか、漁業などに生かす取り組みもある。

 このNPO法人が取り組む市民参加の調査は6年目で、これまでの調査では日本の沿岸にすむ魚の分布がわかってきた。調査を続けることで、近年の水温上昇などによる分布の移り変わりなども記録していきたいという。解析によってわかった魚の分布は研究者が見るデータベースに反映されるほか、参加者にも報告される。

環境DNAのデータベース「ANEMONE DB」。色がついた場所は、これまでの調査地点を示している

 調査場所は応募者の希望に応じて決める。自宅近くでも、旅行先などでも良いという。調査期間は6~8月で、6月にオンラインで採取方法の説明がある。

 特に北海道、東北、北陸、山陰の各地方で参加者が少なく、協力者を探しているという。安全性の確保のため2人1組で、16歳以上が条件。保険加入などのために3千円が必要。申し込みは今月30日まで。問い合わせはアースウォッチ・ジャパンのウェブサイトから(https://www.earthwatch.jp/)。

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