智弁和歌山前監督・高嶋仁の目
(12日、第107回全国高校野球選手権大会2回戦 山梨学院6―2聖光学院)
野球って信じられないことが起こりますね。五回までは静かな投手戦だったのが、ガラッと変わりました。
試合が膠着(こうちゃく)状態に入ったときは、セーフティーバントをしたり、ヒットエンドランを仕掛けたりと動かないといけません。
その意味で、山梨学院の作戦が当たったと思います。
六回1死一塁から、バントの構えからバットを引いて打つバスターエンドラン。これが三塁手の野選を誘いました。オールセーフとなって、8番田村颯丈郎選手もバスター打法で左前に先制適時打を放ちました。
七回には4番の横山悠選手もバスターで中前安打を放つなど徹底していました。
バスターをするとスイングがコンパクトになります。無駄な動きが省けるので、球をジャストミートしやすい。これが奏功しましたね。八回には集中打で一挙4点と突き放しました。
コンパクトなスイングでセンター中心に打ち返し、連打が出る。2023年に選抜を制した打線を思い出しました。
長崎・清峰の監督としても選抜を制した吉田洸二監督は、(僕も長崎・海星出身で)よく話をする間柄です。しっかり練習を積んできていると思わせる打撃でした。今後に期待が持てます。
聖光学院も左腕の大嶋哲平投手が好投し、九回は連打などで1点を返す粘りを見せました。八回につかまった時に継投していれば、失点を少なく抑えられたかもしれません。2点差ぐらいで九回に入っていたら、どうなっていたか。ええ試合やったと思います。