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自身のヒットレシピを「検証動画」にした料理研究家のリュウジさん=バズレシピ提供

トレンドをたどる 朝日新聞動画ディレクター 西田堅一

 ネット動画には「検証動画」というジャンルがある。古くは祭りの露店のくじに当たりがあるか、くじを全部買ってみたり、自らぼったくりバーに潜入して法外な値段を請求されたりと「本当にそうか確かめる」動画で、定番のジャンルとも言える。

 最近では、料理の基本は本当に必要か?という動画が一つのブームとなっている。一晩寝かせたカレーは味が違うのか?アクを取らないと本当にまずくなるのか?様々な動画が配信される中、料理研究家のリュウジさんの「検証動画」が目に留まった。

 5年前に配信し300万回を超える再生回数となったサッポロ一番塩ラーメンのアレンジレシピ。水を一部日本酒に置き換えるのがレシピの一つのポイントだったのだが、これで本当に味が変わったのかを「検証」した。「水だけ」と「日本酒入り」の2品を作り、どちらがどちらかを隠した上でスタッフに試食をしてもらい、味の違いを確かめた。結果としてスタッフの投票により「日本酒入りが美味しい」という流れになるのだが、リュウジさんは、自らのヒットレシピを「検証」した理由を「日本酒を入れる意味がなかったらなかったで、面白くなる。常識を疑ってみることに価値がある」と語る。

 ちなみにその動画では、一人のスタッフが「(日本酒入りは)私はあまり好きじゃない」と言い出す。その理由を成分などから探っていき、後日、新たなレシピを配信するというライブ感のある展開につなげていく。

 読者や視聴者が「それって本当なの?」という疑問を持つ傾向が強まる中、情報を発信する側は、いかにそれに応えられるかが重要で、報道も例外ではない。自ら情報を収集し検証する調査報道や、情報が事実に基づいているかを調べるファクトチェックなど、こういった「検証」を通して誠実に向き合えるかが、生き残りのカギとなりそうだ。

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