ジェーン・バーキンが所有したエルメスのバーキンバッグのプロトタイプ=10日午後5時10分、パリ、後藤洋平撮影

 俳優・歌手として活躍した故ジェーン・バーキンが愛用したことで知られるエルメスのハンドバッグ「バーキン」の原型のかばんが10日、パリのサザビーズでオークションにかけられ、858万2500ユーロ(約14億7千万円)で落札された。落札者は日本人コレクターだといい、サザビーズの日本支社代表によると、「落札した当事者が来週中に実名や意図などを含めて公表する予定」という。

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 このバッグは1984年、当時エルメスCEOだったジャンルイ・デュマがバーキン本人との対話をもとに製作したもので、その後、「バーキンバッグ」として世界中に知られるようになったモデルのプロトタイプだ。バーキンが約10年間所有した後、チャリティー目的で手放され、これまでは個人蔵だった。今回が初の国際的オークション出品となる。

 この黒革のバッグにはバーキンのイニシャル「J.B」が刻まれ、内側には彼女が取り付けた爪切りや、慈善活動のために貼られたステッカーの跡もそのまま残されている。後に商品化されたものとは、サイズや金具、ショルダーストラップなどの細部が異なるという。今回のオークションを前にニューヨーク、パリ、香港の各サザビーズで公開されると、社会的・文化的象徴としての価値を持つ一品として、世界中のコレクターが熱視線を注いでいた。

 サザビーズのファッション部門担当は「これは単なるバッグではない。ジェーン・バーキンという存在と、彼女の生き様、そして現代ファッション史が刻まれた『生きたアーカイブ』だ」としている。

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