黄や青の宮中官服をまとった約50人が鐘や太鼓を打ち鳴らして練り歩く。大阪・関西万博の開幕からちょうど1カ月となる5月13日、韓国のナショナルデーの始まりを告げるのは、江戸時代に朝鮮王朝が日本に派遣した外交使節団「朝鮮通信使」の仮装行列だ。
スタート地点は、縦10メートル、横27メートルの巨大スクリーンが目を引く韓国パビリオン前。当日夜は複数の世界的K―POPアーティストの音楽ライブも予定されている。
万博会期中に特定の国が日替わりでイベントを集中開催して自国をPRするナショナルデー。韓国デーは特に注目を集めそうで、担当者は「5月13日は韓国の歴史や文化、最先端の技術など、魅力の詰まった日になる」と力を込めた。現在は内装作業を進めつつ、ナショナルデーのイベント出演者の調整などに追われている。
韓国は万博を「韓国の発展を世界にアピールする絶好機」(韓国館の朴永桓館長)とする一方、国々や人々のつながりが深まる効果も強調する。
不安定になりがちな日韓関係だが、朴館長は2005年の愛知万博が第1次韓流ブームと重なり、両国の交流が急速に深まったことを思い出す。今年は日韓国交正常化60周年。「万博は国同士の主張や言葉の壁を越え、心を一つに通わせることができる場だ」と期待する。
「いのち」テーマ 平和願う参加国
現代の万博は平和や国際交流の象徴とされる。今回は「いのち」をキーワードに多様性を認め合い、分断を解消していくことも理念に掲げる。
万博には158カ国・地域と7国際機関が参加し、各国の要人が集う。各国が国力PRや経済的なつながり強化を模索するだけでなく、世界平和など人類の共通課題に向き合うことも重要だ。建設費だけで2350億円という巨額費用に対し、こうした目的の実現にどう寄与できるかも万博は問われている。
パレスチナも、平和の実現を…