パレスチナ自治政府のアッバス議長は23日、パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスについて「イスラエルに攻撃の口実を与えている」と批判した。ガザの戦後統治をめぐって、自治政府が主導権を握ろうとする姿勢を改めて示した形だ。
パレスチナ通信によると、アッバス氏は西岸の中心都市ラマラで開かれた会合で、「ハマスはイスラエルに、ガザで罪を犯すための口実を与えてきた。最も顕著な例が人質の拘束だ」と発言。その上で、ハマスにガザの実効支配をやめ、武器を自治政府に引き渡すよう求めたという。
パレスチナ自治区ヨルダン川西岸を統治する自治政府はガザの統治権などをめぐってハマスと対立関係にあったが、2023年10月のガザでの戦闘開始以来、ハマスへの表だった批判を控えてきた。イスラエル軍によるガザでの事実上の支配地域が拡大するなか、ハマスへの対抗姿勢を強めることで自治政府の存在感を高める狙いがありそうだ。
AFP通信によると、ハマス幹部のナイム氏はアッバス氏の発言に対し、「侮辱的だ」と反発。「イスラエルによる侵略責任を押しつけている」と非難したという。
ガザではイスラエルが支援物資の搬入停止を続け、人道状況が悪化している。英独仏の外相は23日、共同声明を発表。「民間人が飢餓、伝染病を含む命の危機に直面している」として、イスラエルに対し、支援物資の搬入を再開するよう求めた。
AFPによるとイスラエル軍は24日、ガザ北部などを空爆。少なくとも22人が死亡したという。