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新天地サウジアラビアのコバールで練習するリナ・ブサハ氏=2024年3月、ニューヨーク・タイムズ

This Soccer Player Wanted to Wear Her Hijab on the Field. France Wouldn’t Let Her.

 ラマダン(断食月)期間中のフランスで、家族が断食して祈りを捧げる中、プロサッカー選手のリナ・ブサハ氏は自分の寝室で、はやる思いで小包を破いて開けた。中に入っていたのは、彼女が注文した2枚のヘッドスカーフ(訳注:頭髪を覆う布)だった。ナイキの製品で、スポーツにおけるムスリム女性に力を与えるシンボルとして販売されていた。

 25歳のブサハ氏は、17歳でプロに転向した。両親はアルジェリア人で、彼女はパリ郊外の最も貧しい地域で育った。2022年のラマダンまで、祈る時を除いてヒジャブを着用したことはなかった。彼女は普段、カーリーヘアを高い位置でポニーテールにしていた。

 しかし、彼女は最近、試合中も含めてヒジャブを日常的に着用したいと思うようになった。そしてその決断は、フランスから中東で新たなキャリアをスタートさせる旅へと彼女を導いた。

 それはまた、彼女の宗教的信条とサッカーという世俗的な追求を一体化させる機会にもなった。

 「私はベール(ヒジャブ)をかぶっていることを、大きな誇りをもって発表する」とブサハ氏はその夜、自身のインスタグラムアカウントに書き込んだ。「私の信じる宗教、私の内なる安寧、そして私の精神性を私は最優先し、サッカーやプロ選手としてのキャリアのような世俗的な楽しみよりも優先する。双方を追求することを妨げるものは何もない。たとえ、(ここフランスでは)それがやっかいなことだとしても」

  • 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」

サッカーの強豪クラブ、パリ・サンジェルマンにも所属していたブサハ氏はフランスを離れるという選択をします。ブサハ氏の心境にNYT記者が迫ります。

 セーヌ・サン・ドニ県にある…

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