会見に臨む日本民間放送連盟の早河洋会長=2025年9月18日午後3時52分、東京都千代田区、武田遼撮影

 日本民間放送連盟は18日、会員社のガバナンス(企業統治)向上を図るための「ガバナンス指針」の案を取りまとめた。フジテレビの一連の問題で、経営陣は事後対応を誤り、ガバナンス不全を露呈。この問題を受けて立ち上がった総務省の有識者会議で民放各局のガバナンス強化を求める意見が上がっていた。

 新たに定めた指針案は、取締役会による適正な執行の監督や、基本的な財務情報の開示による透明性の向上などを規定する。適用状況について、各社に年1回は公表するように求め、民放連でも確認するという。

 また、弁護士などの外部の専門家を入れて各社の取り組みを支援する「ガバナンス検証審議会」も設ける。会員社に重大な不祥事が起きた場合には、原因究明や再発防止について助言する。

 一方、法令に基づく措置ではない指針に強制力はない。

 放送法が基本原則として保障する「自律」を前提とする放送局の経営にはなじまないとして、一律に規定の順守を求めるような指針の策定も見送り、各社の判断による適用に委ねた。民放連の方針を受けて各社が具体的にガバナンス向上策を実践するかが課題となる。

 民放連の早河洋会長はこの日の定例会見で、「(フジのような問題の)再発防止は民放連の責任でもある。二度とこのようなことを起こさせないための考えがまとまった」などと指針の意義について述べた。

 民放のガバナンスについては総務省の有識者会議でも議論が続いている。民放連は、この会議が11月中にも出す結論を踏まえた上で、指針を最終決定し、運用を始めるという。

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