いつものように自信を持って、ソロのパートを吹き始めた。
だが、気持ちを込めて体を揺り動かしたその時。手にするフルートが、隣にいる部員にぶつかった。頭は真っ白。その後のことはもう、覚えていない。
厳しい指摘「分かっている」
全国でも指折りのレベルの学校が集う吹奏楽コンクールの関西大会。京都両洋高校の中川幸子さん(3年)は、昨夏の舞台での失敗を、忘れない。
全体の演奏としては課題曲、自由曲ともに鮮やかで会場は大きく沸いた。だが、結果は銀賞。全国大会に進むことはできなかった。
あれから1年。今年も再び、コンクールのソロを任された。自由曲「吹奏楽のための協奏曲」で、金管の分厚い響きの後に現れる祈りの歌のようなメロディーだ。
演奏には、通常のフルートよ…