Jリーグは今季、ピッチ内でプレーが実際に行われた時間を示す「アクチュアルプレーイングタイム(APT)」を伸ばそうと取り組んでいる。欧州の5大リーグに比べ時間が短く、試合の魅力やレベルを引き上げるために必要だとの考えからだ。Jリーグフットボール委員会で議論を主導してきたのが、元Jリーガーで柏レイソルや横浜F・マリノス、サガン鳥栖で活躍した小林祐三・企画戦略ダイレクター。APTをめぐる議論について、考えを聞いた。
――いまなぜ、APTを長くしようと呼びかけるのですか。
「ここ3年ほど、『強度』という言葉が使われるようになった印象です。それに伴い、暑さがひどくなっていることもあるかもしれませんが、プレー時間を短くしてその間に高い出力を出して勝ちきるというサッカーの中身になったように感じています。5大リーグとの時間の差もそうですが、欧州は伸びてJリーグは減少している傾向にあります。世界とかけ離れた、あまり良くないドメスティックなトレンドではないかとの問題意識がありました」
「欧州に比べて、(Jは6~8月に試合が多く)暑さの影響は確かにある。そこについてはシーズン移行という手を打っています。移行後に、より良い試合内容、長い時間フットボールを見てもらいたいとAPTを打ち出しています」
――現役時代や、前職の鳥栖スポーツダイレクター(SD)のころは、APTについてどう考えていましたか。
「まず選手時代に、勝つためにプレーをする時間を短くしようと思ったことは一度もありません。そんなに勝ちたいのであれば、もはやジャンケンでいい。休む時間が欲しいならば、ファウルで試合を切るだとかリスタートを長くして息をつくのではなく、ピッチ上でボールを保持しながら休む。(元日本代表監督の)オシムさんが言ったように、ボールは疲れない、相手を走らせる。そんな考えでした」
「鳥栖SDとなって、上から…