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神保謙・慶応大教授=2025年6月1日午前11時59分、シンガポール、長島一浩撮影
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神保謙・慶応大教授インタビュー(下)

 アジア・太平洋地域や米欧の国防相らが集う「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」では、ヘグセス米国防長官が演説で中国を批判し、「力による平和を達成するため、戦いに備えている」などとしてアジア太平洋地域に引き続き関与していくと訴えました。神保謙・慶応大教授はその演説を高く評価するといいます。なぜでしょうか。

【インタビュー前半はこちら】

20年にわたり、会議をウォッチしてきた神保教授へのインタビューの後半です。ヘグセス米国防長官の演説への評価を中心に聞きました。

 ――今回の会議では、ヘグセス米国防長官がはじめて演説しました。どう評価しますか。

 「意外に思われるかもしれませんが、私は高く評価しています。トランプ政権内では、(対外援助の縮小や領土拡張といったトランプ氏の意向を代弁する)『MAGA派』と、欧州や中東の関与を減らし、インド太平洋に米国の資源を集中すべきだと主張する『優先主義派』の対立が先鋭化しており、インド太平洋戦略をまとめ上げることは至難だからです」

 「『MAGA派』の世界観からは中国への対抗は導き出せても、米国は必要以上のコストをかけるべきでない、となりがちです。一方、『優先主義派』の勢力は政権内で退潮しているとも指摘され、米大統領はウクライナ停戦をめぐりロシアと交渉をしている最中です。習近平主席との包括的ディールさえ模索している、とも言われます」

 ――つまり、現政権のインド太平洋への関与をめぐる選択肢が定まっていないと?

ヘグセス氏が対立国や同盟国に求めるものは

 「そうです。このような状況…

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