Smiley face
写真・図版
マライ・メントラインさん=東京都中野区、篠田英美撮影

 こなれた日本語を操ってテレビや執筆で活躍するマライ・メントラインさんは、ドイツを日本に、日本をドイツに紹介する自称「職業はドイツ人」――。ドイツの小中学校ではちょっと変わった子、浮いた子だった。級友がおしゃれを始めても、関心は日本に注がれていたからだ。そんなメントラインさんの人生の節目で、背中を押してくれたのは高校時代の先生の言葉だった。

毎日がお泊まり会みたいとワクワク

 小学生のころ、象形文字の漢字に出会ったのがきっかけだった。

 日本の暮らしを紹介した絵本で銭湯や畳に敷かれた布団を見て、毎日がキャンプやお泊まり会のようだとワクワク。屋根の裾が少し反った寺社建築の優美さ、小さな食器をいくつも使う食文化の繊細さに心ひかれた。

 ただ、日本アニメが席巻する前夜で、ともに語らう仲間はいなかった。

 ドイツの高校では、最後の2年間で二つの主専攻科目を選ぶ。ドイツ語と美術にした。

 美術では、漫画の定番ギャグ…

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