Smiley face

 7月に行われた「ミス・ユニバース」の日本大会に、3人の孫を持つ66歳の女性が出場した。年齢制限の上限が昨年から撤廃され、「高齢者に勇気を」という決意で挑んだが、大会を経て新たな目標をつかんだ。

 スポットライトの下、16センチのハイヒールで生き生きと歩く。1分足らずだが、「私が主役。私の時間」。ミス・ユニバース日本大会のステージで、酒井純子さんはピンク色のドレスのスパンコールをキラキラ輝かせながら、心地よい拍手に包まれた。

 東京・神保町生まれ。20歳で渡米し、米国の大学を卒業したあと帰国して結婚。1男3女を育て、30年以上専業主婦として生きてきた。

 転機は2年前。年齢や婚姻歴の制限がない「ミセスユニバースジャパン」の開催を知った。「こんなのがあるんだって」。再婚して10年ほどの夫に何げなく話すと、出場を勧められた。「子どもを4人も育てて、周りに気を使いながら忙しく生きてきたんだから、一度自分だけのためにやってみればいいよ」

 夫の言うとおりだった。母から刷り込まれた「結婚して子どもを育て、家族のために尽くすのが女性の生き方」という価値観を疑わなかった。でも、「母親とはこうあるべし」という規範にとらわれ、「窮屈だな」と思うことはあった。

飛び込んで開き直った 「上を向いて歩く」楽しさ

 一方で、2012年ごろにブ…

共有