Smiley face
写真・図版
トランプ次期米大統領=ロイター

 トランプ次期米大統領が早くも「関税引き上げ宣言」を発した。根拠として合成麻薬や不法移民のメキシコ経由での流入を挙げるが、米国・メキシコ間では膨大な物資の行き来がある。唐突にも見える今回の打ち出しからは、中国を抜き最大の貿易相手国となったメキシコを抑え込もうという次期政権の戦略が浮かび上がる。

 「我々の国への侵略が止まるまで、この関税は有効であり続ける!」

 25日夕、トランプ氏は自らのSNSで「侵略」という定番の言葉を使い、米国の被害者性を強調した。関税引き上げを正当化するため第1次政権でも繰り返された表現だ。

  • トランプ氏が問題視「フェンタニル」とは 関税を武器に流入対策図る

 トランプ氏が引き合いに出した合成麻薬「フェンタニル」は、原料が中国で製造され、メキシコで合成され、米国に持ち込まれることが多いとされる。中南米から来る不法移民もメキシコを経て米国に入る。ともにメキシコが「玄関口」になっていることをトランプ氏は問題視するが、その視線はより幅広い貿易関係にも向いている。

 メキシコは2023年、米国にとって最大の貿易相手国の地位を中国から奪った。トランプ氏にとって、存在感が格段に大きくなったメキシコへの警戒感は第1次政権の比ではない。

 典型例が自動車だ。米・メキ…

共有