クレジットカード不正利用事件の構図

 不正に入手した他人名義のクレジットカード情報を使い、フリーマーケットアプリ「メルカリ」に架空出品して売買が成立したように装い現金をだまし取ったとして、警察庁などは21日、グループの指示役とみる男を電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕したと発表した。クレカの不正利用の被害が深刻化する中、指示役を摘発し、グループ全体を解明したのは極めて異例。

 グループはメルカリやオークションサイト「ヤフオク!」で少なくとも900件、1億円超を詐取したとみられる。指示役は架空出品などの実行役を闇バイトで集め、被害金を暗号資産に換えて隠匿を図っていたといい、警察庁は「匿名・流動型犯罪グループ」とみて調べている。

 逮捕されたのは、住所・職業不詳の小林雄太容疑者(26)。警察庁サイバー特別捜査部と埼玉、京都、福岡など9府県警の合同捜査本部によると、他の人物と共謀し、ブランド品のバッグなどをメルカリに架空出品し、他人名義のクレカで購入して売買が成立したように装い、2021年6~7月に42回にわたり計約275万円を共犯者のアカウントに入金させ、詐取した疑いがある。売買成立後、メルカリが代金を出品者に立て替え払いする仕組みを悪用したとみられる。小林容疑者は黙秘しているという。

 捜査本部は昨年から実行役の20~60代のメンバー17人を逮捕・書類送検してきた。架空出品役、小林容疑者が情報を伝えた他人名義のクレカで商品を購入する役、商品の受け取り・転売役などがいた。小林容疑者がSNSで「副業あります」などと闇バイトを募集。応募者を秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」などに誘導し、具体的な指示を出していたという。

 実行役は被害金の5%を受け取り、残りを小林容疑者が管理する暗号資産口座に現金や暗号資産で送り、小林容疑者は匿名性が高く追跡が困難とされる暗号資産「モネロ」に換えて口座を転々とさせていた。サイバー特捜部がモネロの動きを解明し、少なくとも約6千万円相当が最終的に小林容疑者の口座に行き着いていることを特定したという。(編集委員・吉田伸八)

クレカ不正利用540億円、昨年1年間

 日本クレジット協会によると…

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