日本郵便が薄型荷物の配達委託をめぐってヤマト運輸に120億円の賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が、東京地裁で来月7日に開かれることがわかった。日本郵政の増田寛也社長は記者会見でヤマトの対応を批判。ヤマト側は請求棄却を求めて争うとみられる。
- 【壊れた協業】ヤマトと日本郵便、巧みな「誘い文句」と泥沼の火種
増田氏は今月5日の会見で、「(基本合意から)1年ちょっとで先方(ヤマト)の意向が変わる。聞いている理由も途中から変わってきた」と指摘し、企業間の合意を守る「法的義務」については訴訟で確認する必要があるとした。ヤマトが薄型荷物の配達を自前でも続けると公表したことに対し、「合意の趣旨に反するし、まったく知らされずに出された。戸惑っている」と語った。
ただ、人手不足の解消など社会的意義が大きい協業だと強調し、ヤマトが当初の姿勢に立ち返れば「協議の門戸はいつでも開かれている」とも呼びかけた。
2社は2023年6月、ヤマトが集める薄型荷物とメール便の配達を日本郵便に委託することで基本合意した。だが、昨年11月、ヤマトが薄型荷物の委託を25年からゼロにしたいと要望。日本郵便が逸失利益などの賠償を求めて提訴した。
ヤマトは昨年12月2日付の日本郵便あての文書で、基本合意の計画は暫定的なもので、守る義務はないと主張。計画を見直すのは、日本郵便の営業などが協業の精神に反するためだとしていた。
ヤマトは先月21日、日本郵便への委託をゼロとはせずに、薄型荷物の自前での配達も続けると発表していた。