昨年11月に私的整理を発表したユニチカの上埜修司社長(右、当時)と、地域経済活性化支援機構の渡辺准社長=2024年11月28日午後4時52分、大阪市中央区備後町2丁目、渡辺七海撮影

 官民ファンド「地域経済活性化支援機構」の出資を受け、経営再建中のユニチカが14日発表した2025年3月期決算は、純損益で2年連続の赤字となった。売上高は、前年同期比6.8%増の1264億円、本業がもうかっているかどうかを示す営業損益は前期の24億円の赤字から58億円の黒字に転じたが、純損益は赤字続きで前期の54億円から242億円に拡大した。

 赤字が拡大したのは、減損で379億円の損失を計上したためだ。工場設備や子会社が見込んだ利益を上げられないと判断し、資産価値が下がった分を損失として計上した。379億円のうち、農業シートや土木・建築資材向けなどの不織布関連が約120億円、食品包装用などのフィルムを製造するインドネシアの子会社が約100億円を占める。

 ユニチカは昨春の24年3月期決算で初めて営業赤字となったことから、抜本的な経営立て直しのため、ファンドのもとでの再建を探り始めた。同年11月、地域経済活性化支援機構から約200億円の出資を受け、銀行に債権放棄を求めて私的整理を進めると発表。今年2月に臨時の株主総会で承認を得て、4月末に出資を受けた。

 再建計画では、今年8月までに不採算事業の売却、撤退を決めることになっている。藤井実社長は14日のオンライン会見で、「(売却の交渉は)進展しているが、決まったことは何もない。8月までに何らかの方法で進める。雇用最優先の方針は変わっていない」と話した。

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