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大槌町のラーメン店の店長・菊池晃総さん(右)から豚バラ肉の提供を受けた黒船グループ代表の岩瀬龍三さん=2025年3月5日午後2時25分、岩手県大船渡市、上地一姫撮影
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 岩手県大船渡市でラーメン店を展開する「大船渡黒船グループ」が、山林火災によって避難している住民に無償でラーメンなどの食事を提供している。14年前の東日本大震災被災者が始めた当時の支援への「恩返し」に、多くの人が共感して無償提供を支える輪が広がり、温かい1杯ができあがっている。

 「黒船」代表の岩瀬龍三さん(60)は、避難者の中に常連客がいるだろうと、1日から市内の2店舗で無償提供を始めた。証明書は特に求めず「避難している」といえば誰でも食べられる。5日までに150人以上が訪れた。

 皿を片付けようとした岩瀬さんは、テーブルに「おいしかったです、ありがとうございました」とピンク色の字が書かれたレシートをみつけた。スタッフも「とても美味しかったです。落ち着いたらまた来店させていただきます」と書かれた紙を見つけた。二通はいつでも見られるよう厨房(ちゅうぼう)に貼っている。

同業者も協力「大変さがわかる」

 一方で、避難している友人を招待すると「悪いから行けない。(無償提供で)店が潰れても困る」と言われた。遠慮する気持ちもわかる。岩瀬さんも東日本大震災で同じ経験をした。

 自宅が津波で流された。被災…

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