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新しいリニア車両「M10」の前で出発式のテープカットに臨む長崎幸太郎知事(中央)、丹羽俊介・JR東海社長(左)ら=2025年7月25日午前11時57分、山梨県都留市、豊平森撮影
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 JR東海の山梨リニア実験線で使われる新車両「M10」の出発式が25日、山梨県都留市の都留保守基地であった。新しいデザインの新車両の前で、JR東海の丹羽俊介社長や長崎幸太郎知事らがテープカットをして祝った。M10はこの日から、時速500キロでの走行試験を始めた。

 M10は「中間車として10番目に作られた車両」の意味。従来のL0系改良型試験車をバージョンアップし、1両だけ製造された。2編成(各5両)ある試験車のうち1編成の4号車として連結された。

 車体のデザインは従来の白地に青いラインから、シルバーの車体に「高速に流れる光」をイメージしたゴールドのラインに一新した。

 JR東海によると、M10の特徴は、環境負荷を低減したことだ。外装はアルミの車体を塗装せず、製造時に塗装を熱で乾かす必要がなくなりエネルギーを節減できた。また表面にサメの肌に似せた微細な溝構造があるフィルムを導入し、走行時の空気抵抗を減らした。

 さらに、従来の超電導磁石だと零下269度まで冷やす必要があったが、M10には「高温超電導磁石」を搭載。零下255度まで冷やせばよく、液体ヘリウムなどのタンクが不要となった。超電導磁石内の構造が簡素化され省エネにつながった。JR東海は、M10を将来の営業車両の土台として位置づけている。

 式の前に車内を見学した長崎知事は、「シートの座り心地がよく、いろんな工夫がされていた。早く開業できるように最大限の貢献をしたい」。開業時に山梨県駅(仮称、甲府市)と富士山などをつなぐ構想の富士トラム(仮称)については「インテリアでリニアとの連続性が図られたら面白い」と述べた。

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