練習する韮崎高校の吹奏楽部員たち=2025年7月6日、山梨県韮崎市、オザワ部長撮影

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 「吹奏楽の甲子園」と言われ、全国の高校吹奏楽部員が憧れる全日本吹奏楽コンクール・高等学校の部。山梨・埼玉・群馬・新潟の4県で構成される西関東支部からは3校が出場できるが、山梨県からはいまだ出場はない。

 山梨県立韮崎高校吹奏楽部(韮崎市)の顧問で、同部卒業の仲田太年(たかとし)教諭はその理由をこう分析する。

 「他県に比べて学校数も、部員数も少ない。部員最多はうちの78人です。また、高3がコンクールに参加しない学校が多いというのもあると思います」

 西関東大会に出場する山梨勢は毎年、苦戦を強いられてきたが、2022年に韮崎高は創部初の金賞を受賞。代表校には選ばれなかったものの、山梨の吹奏楽界に光が差した。

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 今年度、副部長を務めているクラリネット担当の萩原琴音(3年)は、ステージでほとんど緊張しないという度胸の持ち主。困ったときにはみんなが頼ってくる存在だ。

 実は、琴音の兄は金賞を受賞したときのメンバーで、楽器はテューバだった。

 「兄とは仲良しなんですが、兄は私の小さいころからの目標で、なぜかいつも『兄に負けたくない』という気持ちがありました。韮崎高校に入ったのも兄の影響ですし、私も絶対西関東金賞をとりたいと思いながら活動してきました」

 今年度の西関東大会の会場はYCC県民文化ホール(甲府市)。3年前に金賞を受賞した場所であり、韮崎高にとってはホームといってもいい会場。これは大きなチャンスだ。

 今年度のコンクールで演奏する自由曲に、仲田はオットリーノ・レスピーギ作曲《交響詩「ローマの祭り」より》を選んだ。4部構成の曲だが、琴音は最後の「主顕祭」でクラリネットが目立つメロディーに課題があると感じている。

 「かなり高い音もあって難しいんです。パート全員できちんと音程を合わせ、会場にしっかり音が響くようにしたいです」

 琴音は1年のときから55人のコンクールメンバーに選ばれてきたが、昨年度の西関東大会では練習の成果が出しきれず、2年連続の銀賞という結果に落胆した。それだけに、今年度こそはと燃えている。

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