大学なのに義務教育のような授業だ――。財務省が15日の有識者らによる審議会で、一部の私大の教育内容を厳しく指摘し、私学助成の見直しを提唱した。教育の質の評価が必要という考えを示したが、文部科学省からは「粗い考えだ」との指摘もある。
15日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で主張した。定員割れに陥っている私大の授業例として、四則演算や方程式の取り扱い(数学)、現在形と過去形の違い(英語)などを挙げた。大学の公開情報から抽出したという。
その上で、「メリハリを強化していくべきだ」として、大学を評価する今の認証評価制度を見直すなどして、教育内容の質や人材育成の観点で私学助成額を検討する仕組みへの転換を唱えた。
私学助成は大学588校に計約2860億円(2024年度)。学生数や教職員数など大学の規模に応じて配分されているが、文科省が3月に設けた有識者会議でも、地域を支える人材育成を重視して配分する方向で見直しが検討されている。
財務省の主張に対し、文科省幹部は「目指すべき方向は同じ」としつつ、「定員割れしていたり、基礎的な学びを採り入れたりしている大学の教育の質が一概に低いとは言い切れず、一面的で粗い考え方だ」と指摘。「学力の成長度や進路実績なども含めた評価が必要だ」と反論した。