会社社長に辞任を迫ったとして、神戸地検が三菱UFJ銀行の元副支店長、松田忠士被告(52)=神戸市東灘区、懲戒解雇=を強要未遂罪で起訴していたことがわかった。25日に神戸地裁であった初公判で松田被告は起訴内容を認めた。検察側は懲役1年を求刑し即日結審した。
起訴状によると、被告は3~5月、個人として株式を保有する会社の社長に対し、同社の問い合わせフォームから偽名で「反社勢力をほうふつさせる取り立て行為をさせる」「死ねないなら、退任しなよ」などとメッセージを送り、辞任するよう迫ったとされる。
三菱UFJ銀行によると、被告は当時、大阪府内にある支店で副支店長を務めていた。事件発覚後の11月に懲戒解雇となったという。
被告人質問で被告は、会社の株価下落で「損失が200万~300万円あった」と説明。会社にメッセージを送ったが具体的な反応がなかったため、辞職を強要したとした。株式は同行の規定に違反して無断で保有していたという。
検察側は論告で「極めて卑劣で悪質」とし、弁護側は罪を認め反省しているなどとして執行猶予付きの判決を求めた。
同行は取材に対し「元行員が起訴されたことは大変遺憾です。本事案を厳粛に受け止め、行員の倫理観の維持・向上に努めてまいります」とコメントした。